ITコーディネータの試験を受験する

ある方から、ITコーディネータの試験に合格するためには、どのような勉強をすれば良いのか訊かれました。
(ITベンダー勤務の営業担当の方です。)

ケース研修が先か、受験・合格が先か

ITコーディネータとして登録するのが、とりあえずの目先の目標かと思います。その場合は結論になりますが、ケース研修を先に受講されるのが良いと思います。

その理由は?
ITコーディネータの試験では、PGL(プロセスガイドライン)がベースとした出題がされます。ケース研修を受講すると、Eラーニングで、PGLを動画にしたモノを視聴することになります。
※PGL:乱暴に書くと、経営のコンサルティングを体系的にまとめたものです。ITコーディネータがコンサルティングをする際には、PGLをベースに行います。今年、バージョンが3.1にアップしました。

実際に、ケース研修講義の場でもPGLについて講義・説明が行われます。

つまり、最低でも2回は強制的にPGLを学習する機会が与えられます。Eラーニングは、何度でも視聴可能ですので、やる気があれば正に何度でも! 3文字略語、4文字略語は単体では覚えにくいですが、動画と音声でかなり覚えやすくなります。

また、ケース研修に申し込むと、単行本のPGLも研修資料として受け取れます。単体で購入すると紙の単行本で3240円です。何冊も必要ないですから。

ケース研修とは

詳しくは、ITコーディネータ協会のホームページでご確認いただくとして、簡単に言えば、「架空の企業に対して、IT経営を推進する経営コンサルを行う」研修です。はい、架空の企業です、実在の企業をベースにしていると聞きましたが、ちょっと…。

IT経営推進ですが、今どきITを使わない企業はないわけですので、「ごく普通の経営コンサルティング」と思っても良いと思います。

そのため、企業の経営者・2代目さん・後継者候補の方、事業企画部門の担当者などがケース研修を受講するのも非常に意味があります。例え、ITコーディネータとして登録しなくても、です。個人的には、SWOT分析、クロスSWOTのあたりは、即事業経営・事業活動に反映できるのではないかと感じます。経営課題が浮かび上がってきますから。
(ITコーディネータ協会さんには、このあたりをもっと強調するとケース研修の受講者さんが増えるのに、なぜもっとPRしないんだろうと素朴な疑問が湧いてきます。事業承継の時代なのに。)

後半のIT資源調達あたりになると、ITベンダーさんに勤務している方の得意分野になりますが、「知っておく」と役立つ情報があります。

価格的には、20万円+消費税ですので、実際の講義+Eラーニング+資料を含みますので、ベラボーに高い金額ではありません。実際の講義日だけで6日間ですから、お金のことよりも時間の捻出が大変かも知れません。

ケース研修は、PGLを擬似的に実践する場ですので、受験にも役立ちます。そう言えます。

戦略人事研究所・ITコーディネータの試験に合格するには

ITコーディネータの試験

一般の試験と、特定の資格保持者を対象とした専門スキル特別認定試験があります。

周囲のITコーディネータ登録者何名かに訊くと、「一般の試験でも、PGLを何回か読み、ネット上のサンプル問題を解けば、とりあえず何とか合格できた」とまとめることができます。

昨年の一般試験の合格率は、50%60%ほどですので、油断すると2度目を受験することになってしまいます。ただ、ケース研修のところで書いたように、ケース研修を先に受講すれば、PGLは強制的に最低でも2回学習できますし、PGLも追加費用なしに入手できます。ケース研修自体が、受験対策のようなものです。
(合格のためだけに、PGLを読んではいけないと周囲の方には言われていますが。)

専門スキル特別認定試験は、特定の資格があれば、受験できます。受験料も安い! ITパスポートを750点以上で合格していれば、専門スキル特別認定試験を受験できます。

ちなみに、この専門スキル特別認定試験の合格率は、ざっと90%以上です。昨年度の第1回試験は70%程だったのですが、問題が難しかったのでしょうか。

ケース研修を選ぶ

ケース研修は、同じ地域、例えば大阪でもいくつかの団体が開催しています。それぞれ特色があり、今後のITコーディネータとしての活動を左右するようにも思いますので、慎重に開催団体をチェックしましょう。

開催地区・開催団体によっては、受講者が1名でも開催するところがあるように聞いています。が、1名ではもったいない。複数名以上で開催するケース研修を受講する方が、他の方の意見・発表を聞くことができるので。交通費を捻出しても、価値があると言えます。

平日か、土日か、ですが、平日コースはITベンダー勤務の方が増える傾向があるようです。まあ、勤務している方なら勤務先の考え方、独立開業者(中小企業診断士や経営コンサルなど)であれば、仕事の有無・分量が影響するはずです。日程は、6日間ですが、1日+2日+2日+1日の組み合わせです。

OB会(修了生のフォローがあるのか)の有無、組織の年齢構成(若いのか、年配者が多いのか)、ケース研修以外に実質的な活動があるのか、地域に根付いた活動・セミナーがあるのか、などは確認しておく方が安心です。

私の場合

受験が先でした。
合格体験記を探したり、ネットの情報を見ましたが、ある一定の結論は導き出せませんでした。日経の受験テキストを購入しようと思いましたが、ヤフオクを見ても高かったので諦めました。結局、ITコーディネータ協会からダウンロードできる資料を参考に勉強しました。

私の場合社会保険労務士資格を持っていたので、専門スキル特別認定試験でしたが、CBT受験自体初めてで、戸惑いました。ちゃんと調べてから受験するのが王道なのに。とりあえず、見直しもせず終了のボタンを押せば、結果が即表示されます。なぜか、合格…。

後ろから、「おめでとうございます」というパソコン教室の方の声が聞こえてきました。

各分野の正解率が出てきたように記憶していますが、IT資源調達はどうしても「ITベンダーに勤務していない、一般の事務職」であれば、ハードルは高い(正解率が低い)です。

まとめ

私の場合は、「試験」を先に済ませました。
が、書いたように、ケース研修を受講すること自体が試験対策に近いものですので、ケース研修を先に受講することをおすすめします。

心配性の方であれば、「試験、合格できないと、ケース研修の時間とお金が無駄になってしまう」と思うかも知れませんが、ケース研修の中身自体に価値がありますし、合格率もアレですから。

資格マニアで、ITコーディネータの試験だけ合格して「数」に入れる方もいるのかも知れませんが、合格自体にさほど意味があるとは思えません。

ITコーディネータだからと言って、ITツールの専門家ではありません。ウエブサイトの専門家ではありません。
あくまで、経営コンサルタントだと、私は思っています。
が、そんなきれい事だけを言えないので、私は「給与計算」「社会保険の電子申請化」などのパーツパーツのアドバイスを行っています。