社会保険・労働保険手続きの電子申請を行う前準備

社会保険・労働保険の電子申請を行う前に、電子証明書をどう手当てするのかという問題が発生します。

何も考えなければ、株式会社(法人)であれば、その法人での電子証明書を取得します。ただ、費用も結構掛かる、何かの時に面倒になるのはイヤという声も少なくありません。

そこで、その株式会社の代表者などの個人の電子証明書を利用する方法があります。

【法人事業主等の公的個人認証サービス等の利用について】

平成 27 年1月から、法人事業主又は事業主代理人(注)を選任した場合の代理人(以下「事業主等」という。)が、社会保険及び雇用保険の手続を電子申請で行う場合、これまでの法人の電子証明書に加え、事業主等の個人の電子証明書(公的個人認証サービス等)が利用できるようになりました。

なお、労働保険適用徴収関係の手続については、平成 20 年度から法人事業主等の個人の電子証明書の利用が可能となっています。

公的個人認証サービスの詳細は、公的個人認証サービスポータルサイト(http://www.jpki.go.jp/)で御確認ください。

(注) 社会保険の場合、「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」、雇用保険の場合、「雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届」により選任した代理人を届出している場合に限ります。

つまり、一番簡単お手軽な電子証明書の準備方法は、これです。

  1. 代表者または担当者のマイナンバーカードを取得する
  2. 代理人の選任届けを提出する
  3. 代表者または担当者が交代した場合は、代理人の変更届を提出する

健康保険・厚生年金保険は年金事務所に、雇用保険は職安(公共職業安定所)に、それぞれ代理人の届を提出します。労働保険は、雇用保険の届が紙ですと5枚複写になっており、労働保険も代理人を選任するのであれば、複写の用紙を使います、提出先は労働基準監督署。

この代理人の選任届は、電子証明書を利用する場合だけでなく、「代表者印を、むやみに押印したくない」ときにも使います。社会保険・雇用保険の手続きは、事実行為ですので、それでも構わないと思います。

ただ、「個人のマイナンバーカードを会社の業務に使われたくない」と言う声も当然あります。総務部長・人事課長等の管理職の方が率先して…マイナンバーカードを…。

実際に運用していくと、従業員・社員のハンコ、その配偶者のハンコなども必要になっていきます。紙の申請書・届け書でハンコを押印する場合と同じです。被扶養者届・継続給付の関係などです。まあ、発生の都度、調べて対処すれば良いでしょう。

社内に、登録している社会保険労務士がいる場合=勤務社会保険労務士がいる場合は、提出代行証明書で。

実際に電子申請するには、e-govを経由するのか、API連携のツール・一括申請ツールを使うのか、それは費用と手間を考慮して考えましょう。

一つ、デメリットがあるとすると「書類作成後のチェックがしにくい」こと。会社内でチェックできなくても、雇用保険の被保険者番号、基礎年金番号があれば、それぞれ役所の側でチェックされるので、問題は大きくありませんね。



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