テレワークが必ず成功する具体的な処方箋
働き方改革の影響で、いたる場所・メディアで「テレワーク」という単語を見掛けます。とくに、IT系の企業様からは、プンプン。昔は在宅勤務とも、好きな方はリモートワークとも、言います。
さて、テレワークは、IT・ICTのチカラを利用します。ですので、IT系企業様の広告・宣伝に使われても仕方のない用語です。
当然、コンサルタントの身である当方にも相談(質問?)が舞い込んできます。
で、「雇用型・常時」テレワークが必ず失敗する方法は、経験則から見つけました。
次のとおりです。
- 全体方針を作らない。行き当たりばったりで、目の前の問題だけを解決しようとする。ゆえに、最終的にはパッチワーク状態。
- ルールは、「テレワークは特別」として扱う。テレワーカー用の就業規則や契約書をどんどん作る。
- 労働時間管理は、「事業場外みなし」を利用する。ココ、結構重要。
- 備品(パソコン、ルーター等)・電気代等、ポリシーなく負担するもの負担しないものを決める。
- クラウドストレージ、グループウエア、それも無料のもので大丈夫と言う。
- 仕事を評価する仕組み(人事評価制度)は存在しない。時間管理は事業場外みなしを採用しながら、時間で評価する、矛盾。
以上です。
これだけ全部やると、間違いなくテレワークは失敗します。
失敗するというのは、続かない・対象者が辞める・お金のトラブルが発生する、と言う意味です。
もっと書くと、フルタイム在宅型は「委託型・下請け」になってしまうことも。だから、労働時間くらいはキッチリ管理できる状態を考慮して欲しいです。
●テレワークは、全体像・ポリシーを描いてから。
●雇用型テレワークは、通常の就業の延長。プラスアルファは必要ですが、ベースはあくまでも通常の就業規則なりのルール・社内規程類。
→つまり、規程さえ無いようなところでは、まず規程の整備から。
●労働時間管理は、あくまで実労働時間管理が基本。ルーズになりがちな部分なので、逆にしっかりと時間管理の体制を取りたい。
●備品、例えばノートパソコンを使用させるなら、当然貸与。セキュリティの面からも、個人用とは別に。
(どのようなテレワーク・システムを構築するかでも、この部分は左右される。)
●電気代・プロバイダー代などは、スパッとテレワーク手当などの手当として支給。家賃や持ち家なら固定資産税など、算出しにくい負担もあるので。
●最低VPN、この部分はシステム構築の際にアドバイスを受けるでしょうが、優良なITベンダーさんを見つけていただくのが先かも。
●評価制度は、ないよりあった方が良い。もちろん、何を成果・成果品・仕事の結果として捉えるかでも、違ってくる。
●印を全部クリアする、テレワークを成功させたい中小企業にとっては当然です。経費・人件費をケチりたい気持ちでテレワークを考え始めると、良い方向には向かいません。
私の周りで、成功しているテレワークの事例は、こんな感じです。
○配偶者の転勤で、退職せざるを得なかったが、業務内容の関係で勤続して欲しかったので、テレワーク・スタイルを導入して。(事務所勤務→雇用型フル・テレワーク)
○優秀な人材が欲しかったが、希望者が親の介護の関係で、地元を離れることができなかったので、テレワークを導入して。(雇用型フル)
課題については、セキュリティの確保が一番、二番目が教育・コミュニケーション、三番目が労働時間の把握だと伺いました。
月1回は、出張扱いで本社に来てもらうなど、コミュニケーションには気を遣っているようです。交通費・旅費が掛かりますので、ケチろうという発想では、トラブル・問題になりやすいと感じます。
「費用対効果が悪い」と聞こえてくる声は、ポリシーをどう決めたのか。
何のためにテレワークを導入するのか。費用の節約だけでは成り立たないのではないでしょうか。人材確保・人材活用の面から検討をするのが、本来は筋です。
「XXと言うツールを使えば良い」は、枝葉。
だから、全体像や対象者とのコミュニケーション、労働時間管理の方法を決めてからで十分間に合うのが、どのツールを使うのか。ツールを決めてから考えるのは、順番が逆です。ツールに何を使うのかは、全く無視するのでなく、参考には出来ます。
えっ、具体的な処方箋になっていない?
もしかして、テレワークのポリシーがないのでは??
弊所・戦略人事研究所でもテレワークについて相談を受け付けています。
公的なところでは、日本テレワーク協会、社会保険労務士会でしょうか。
ベンダーさんは、取りあえず今現在お付き合いのあるところで。
(なければ、ご紹介します。)
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